生活に大きな影響を与える福利厚生
アルバイトと正社員の大きな違いは、福利厚生の充実にあります。福利厚生とは、雇用者側が従業員に対して、その生活を向上するために提供する、賃金以外のサービスのことをいいます。このサービスは多くの場合、従業員の配偶者や家族などにも提供されます。具体的に、健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険などの法定福利厚生があり、正社員であればこれらの福利厚生を必ず受けることができます。
健康保険や、厚生年金などの社会保険が充実していることによって、アルバイトと正社員には具体的にはどのような違いが生まれるのでしょうか。例えば、年収400万円程度、会社勤めの正社員であれば、被用者保険という健康保険に加入することになります。被用者保険の場合、月々の保険料はおよそ3万円、そのうち半額は会社が負担するので、実際の自己負担額はおよそ1万5000円になります。福利厚生は従業員の家族にまで提供されるので、4人家族であれば4人分の保険料が1万5000円ということになります。一方、アルバイトの多くは国民健康保険に加入します。国民健康保険の場合、単身者で月々の保険料はおよそ2万3000円、4人家族であれば4~5万円(住んでいる市区町村によって異なります)で、すべて自分で負担しなければなりません。また、加入者数に応じて保険料はあがります。
厚生年金でも同様の差は生まれます。正社員であれば月々の保険料はおよそ2万8000円、これには基礎年金分と上乗せされる年金分が含まれています。一方、アルバイトの多くが支払う国民年金の保険料は、一人でおよそ1万6000円、配偶者がいれば夫婦2人分で3万2000円程度で、これには基礎年金分しか含まれません。つまり、少ない負担額で生活をしっかりと保障してくれるのが福利厚生というわけです。賃金以外の金銭面でも、会社員とアルバイトには大きな違いがあるのです。
社会保険以外の福利厚生には、家賃補助や通勤補助、社員寮や社員食堂の完備、健康診断の実施などがあります。企業によっては、社員専用のレクリエーション施設や、社員旅行などの交流イベントを設けているところもあります。また、アルバイトと比べて、ボーナスがあることも大きな違いです。支給時期や支給条件は企業によって異なりますが、ボーナスがあることで働く意欲が増します。ボーナス以外にも、社内表彰や結婚、出産祝いを設けたり、身内の不幸や負傷、疾病などの場合にも手当を支給したりする企業も多くあります。
さらに正社員は、年末年始や夏季休暇、有給休暇なども保障されています。このような休暇の待遇があるところが、アルバイトとの大きな違いです。充実した福利厚生を受けることができるのは、正社員の大きな魅力といえます。
アルバイトから正社員に登用されるためには、いくつか方法があります。正社員登用試験を受験する方法や、上司に推薦されて正社員になる方法です。仕事の仕方を工夫して、社会的にもメリットの多い正社員になりましょう。
アルバイトと正社員は、労働上の立場は違っても権利に違いはありません。短時間労働者の労働環境を充実させるために、1993年に「パートタイム労働法」が制定されました。アルバイトでも権利が認められている職場を目指しましょう。